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【パスワード管理アプリ】1Password7ユーザーがBitwardenに移行しようとした結果

皆さんは「パスワード管理アプリ」をお使いでしょうか?

パスワード管理アプリとはオンライン上の様々なIDやパスワードを管理するアプリで、パスワードの生成や入力を助けてくれる機能があります。

私も以前は自分で決めたパスワードを少し変えるくらいであちこちのサービスに登録していました。
しかし、ネット銀行や証券会社などお金の絡むサービスを多く使うようになってからは同じようなパスワードを使い回すことに危険を感じ、パスワード管理アプリを使用するようになりました。

今回はあることをきっかけにこれまで使っていたパスワード管理アプリ1PasswordからBitwardenに移行を試みた結果をまとめてみます。

きっかけ

私がチャンネル登録をしている、あるYouTubeの動画を見たのがきっかけです。

https://www.youtube.com/watch?v=tnAd4kboFWM

時間は約22分。
時間のある方は上記動画をまずはご覧になってみてください。

これまでの私のパスワード管理方法

私はパスワード管理アプリに1passwordというものを使っています。
年契約でこれまでは3,900円。

https://apps.apple.com/jp/app/1password-8-password-manager/id1511601750

次回更新は8月。今度は4,000円になるのでしょうか。

上記動画で紹介されていたBitwardenというアプリは基本的には無料です。

https://bitwarden.com/ja-JP/

ただし、ワンタイムパスワード(TOTP)の管理も行うには年契約10ドルがかかります。2023年5月27日にクレジットカード決済した時は1,434円の請求が上がっています。

価格比較

先ほども書いたように1Passwordを次回更新する場合には約4,000円、新しい管理アプリBitwardenに切り替えるなら約1,500円。

パスワード管理アプリは一度契約したら、おそらく死ぬまで管理を委ねることになるでしょう。

そんなわけで少しでも価格の安いBitwardenに乗り換えるつもりで契約してみたのでした。

現行バージョン1Password 8の評価が低い(5段階評価中2.5)

私がiPhoneやAndroidスマホで使っていた1Passwordアプリはバージョン7です。
現行のバージョン8とは別アプリ扱いとなっているようでAppストアで更新をかけてもアップデートされません。

バージョン8にすると使い勝手が悪くなるかもしれないという不安と大事なデータを預けるアプリを古いバージョンのまま使い続ける危険性を感じていました。

そこでBitwardenアプリを試してみようと思ったのです。

1PasswordからBitwardenへの移行方法

Googleで「1PasswordからBitwarden 移行方法」で検索してみてください。

手順はとても簡単でBitwardenアプリをインストールし、アカウントを作成。
Web版の1Passwordサイトにログインし、データをエクスポート。
Web版のBitwardenサイトにログインし、データをインポート。
以上です。

ところがここで私はつまづきました。

移行の際に注意すべき点

私がミスをしたのは1Passwordのデータに「アーカイブ」が大量にあった状態のデータをエクスポートし、Bitwardenにインポートしてしまったことです。

1Passwordでは使わなくなったアカウント情報をアーカイブに入れておいたのですが、Bitwardenには「アーカイブ」という機能がありませんでした。

その結果、通常のデータの中にアーカイブしていたデータが大量に混ざってしまいました。

もし、同じように1PasswordからBitwardenに乗り換えを考えている方は先に1Passwordのアーカイブを全て削除してから行うほうがいいと思います。

確認、修正、削除作業

私が移行したデータ数はアーカイブも含めて約800。
最終的に現在も利用しているデータ数は約300。

1PasswordとBitwardenのパソコンアプリを2つ開いてこの800のデータのチェック作業を行いました。

Googleで移行方法を検索した時には簡単に移行できるように思えましたが、Bitwardenで開いたデータを見てみると以下の点が気になりました。

項目名(ラベル)が正しく移行されていない

1Passwordでは自分で項目名を付けてデータを登録していたものがあります。
それらのうちの一部がBitwardenでは意味不明な英字名になっていました。
データ自体は正しく移行されているのですが、その項目名(ラベル)が正しく表示されていないのです。

これを2つのアプリを見比べながら一つ一つ修正を行いました。

アーカイブしていたデータの削除

これは先にも書いたように事前にアーカイブ分を削除してからエクスポートするか、エクスポートするデータをカテゴリー毎に行えば不要な作業だと思います。

私はすでに項目名の修正作業を始めてしまってから気づいたので、これも見比べ不要なデータを削除しながら行いました。

メールアドレスの非公開化

最初にあげたYouTubeの動画でサービス毎にメールアドレスを分けておくと迷惑メールが来た際や企業からデータが流出した際にどのサービスから情報が漏れたのかわかるというものがありました。

「メールを非公開」とは

これはAppleの有料サービスiCloud+を契約している人のみが使えるサービスです。

https://support.apple.com/ja-jp/HT210425

私はおそらくこれからもメイン端末はAppleの製品になるだろうと考え、今回の移行をきっかけに登録しているサービスのメールアドレスを全て非公開化したものに変更し直しました。

カテゴリーの見直し

1Passwordにあって、Bitwardenに無いものの一つに「カテゴリー」や「タグ」があります。

1Passwordのカテゴリー

ログイン、セキュアノート、クレジットカード、個人情報、パスワード、ドキュメント、ソフトウェアライセンス、メンバーシップ、メールアドレス、無線ルーター、社会保障番号、運転免許証、銀行口座

1Passwordのカテゴリー一覧
1Passwordのカテゴリー一覧
Bitwardenのタイプ

ログイン、カード、ID、セキュアメモ

Bitwardenのカテゴリーは4種類のみ
Bitwardenのカテゴリーは
4種類のみ

1Passwordでカテゴリー分けやタグ付けをしていたものをBitwardenにインポートすると、クレジットカード以外のものはほぼ全て「ログイン」に入ってしまうと思います。

Bitwardenにはフォルダーという機能があるので、フォルダ名を1Passwordのカテゴリーのように付ければカテゴリー毎に見やすくできると思います。

このフォルダへの振り分け作業を行いました。

800件のデータ移行にかかった時間

上記のような作業を行いつつ、1PasswordからBitwardenに移行を終えるのにかかった日数は約1週間です。
時間で言うと30時間以上はかかったと思います。

こんな作業は2度と行いたくないです。

iPhoneアプリ比較

新規アイテム作成

1Password 8

1Password は新しいアイテムを作成しようとするとその種類を選択する画面になります。

1Passwordの新規作成画面
1Passwordの新規作成画面

これは自分が管理するデータの項目が何かわかっている場合(ほとんどの場合)、登録する項目(ラベル)が既に記載してあるので初心者はとても入力しやすいと思います。

Bitwarden

Bitwardenの場合、新規に項目を追加しようとするとデフォルトで「ログイン」のフォーマットが表示されます。

Bitwardenはいきなり「ログイン」形式での新規作成画面になります
Bitwardenはいきなり「ログイン」形式での新規作成画面になります

シンプルな作りなので最低限の情報さえ登録できれば良いというのであればBitwardenでも十分でしょう。

パスワード生成

この機能が私にとってはBitwardenに期待していた部分です。

1Password

選べるのは「ランダムなパスワード」、「覚えやすいパスワード」(英単語を並べたようなもの)、「暗証番号」。

「ランダムなパスワード」の場合
文字数

8文字から100文字

数字、記号を含めるか否かのオンオフスイッチ
1Passwordはパスワード作成時のオプションが少ない
1Passwordはパスワード作成時のオプションが少ない

Bitwarden

選べるのは「パスワード」、「パスフレーズ」(英単語を並べたようなもの)の2つのみ

「パスワード」の場合
長さ

5文字から128文字

A-Z、a-z、0-9、!@#$%^&*、数字の最小個数(1から5個)、最低限必要な記号の個数(1から5個)、あいまいな文字を避ける
Bitwardenはパスワード作成時のオプションが多い
Bitwardenはパスワード作成時のオプションが多い

パスワード作成をアプリに任せる場合、細かい条件設定に対応できるのがBitwardenのいいところだと思います。

個人的に期待していたのは「あいまいな文字を避ける」という設定のオンオフです。

私は重要なパスワードに関しては紙にも記載しておきますが、大文字のI(アイ)と小文字のl(エル)、数字の1(イチ)を書き分けるのが面倒だと思っています。
こういう文字を含まない設定ができると便利だなと思っていました。

生成したパスワードの見やすさ、確認のしやすさ

これは1Passwordの圧勝です。

作成した後のパスワードはコピーして貼り付けすればいいのですが、サイトによっては確認のため2回目に入力するパスワードはペーストができず、手入力しなければならないことがあります。

また、紙に書き残しておきたいパスワードに関してもスマホやパソコンの画面でランダムに記載された英数記号を見分けるのは難しい時があります。

そんな時、大きな文字で表示される機能があると便利です。

スマホアプリでの表示

1Password

大きな文字で表示する方法を選ぶことができます。

スマホの小さな画面でも大きな文字で確認できる1Password
スマホの小さな画面でも大きな文字で確認できる1Password
Bitwarden

スマホからは通常の文字サイズでしかみることができません。

パスワードを拡大して見ることのできないBitwarden
パスワードを拡大して見ることのできないBitwarden

Mac版アプリでの表示

1Password

さらに大きく表示させることができます。

Mac版アプリから見た1Passwordでの「大きな文字で表示」
Mac版アプリから見た1Passwordでの「大きな文字で表示」
Bitwarden

文字の下に数字が振ってありますが、文字の大きさにはさほど変化はありません。

Mac版アプリからだと文字の下に数字を打った表示で見ることができるが文字の大きさはほぼ変わらないBitwarden
Mac版アプリからだと文字の下に数字を打った表示で見ることができるが文字の大きさはほぼ変わらないBitwarden

コピーのしやすさ

登録したIDやパスワードのコピーのしやすさも使い勝手を語る上で欠かせないポイントです。

1Password

項目の枠内のどこを押してもクリップボードにコピーがされます。

Bitwarden

スマホアプリ、Mac版アプリともにコピーするには紙が2枚重なっているアイコン部分をタップやクリックする必要があります。

検索できる項目

私は今回、パスワードの使い回しのチェックも行いました。

iPhoneをお使いの方であれば下記設定を確認してみてください。

設定アプリ>パスワード>セキュリティに関する勧告

この項目が0になるようにパスワードを見直しましたが、パスワードを変更することができないサイトだったため残ってしまいました
この項目が0になるようにパスワードを見直しましたが、パスワードを変更することができないサイトだったため残ってしまいました

ここに「パスワードが弱い」とか「漏れたパスワードである」とか、「使い回しされてるパスワード」などのメッセージが表示されていると思います。

1Password

例えば、上記の「セキュリティに関する勧告」を見て、パスワードを使い回ししていることがわかったとします。
勧告の中にはサイト名や使いまわしているパスワードも記載されていますが、そのパスワードをiPhoneでアクセスしていないサイトにも登録していないか検索したいと思います。

この時、1Passwordでは同じパスワードを設定したアカウント1と2を検索に引っ掛けてくれました。

パスワードも検索対象となる1Pasword
パスワードも検索対象となる1Pasword

Bitwarden

こちらも同じパスワードを設定しているのですが、パスワードは検索対象となっていないようです。

検索の対象にパスワードは含まれていないBitwarden
検索の対象にパスワードは含まれていないBitwarden

パスワード管理アプリとブラウザを連携していると、自動でパスワードを入力してくれたり、登録してくれる機能も使えますが、登録の方は意図しないものも管理アプリに登録してしまうことがあります。

サイトのアドレスが違えば当然ですが、IDとパスワードを入力した後、メールで届いた認証コードも入力しないとログインできないサイトなどはきちんと確認していないと毎回変わる認証コードもそのサイトに紐づいて登録されてしまいます。

私はパスワード管理アプリの自動入力機能は使わずにSafariなどブラウザの自動入力を使っています。

私が1Passwordのアーカイブに大量のIDやパスワードを保管していた原因の一つは、1Passwordアプリのパスワード自動登録機能をオンにしていた時に登録されたもので実際には不要なものを削除せずにアーカイブとして残していたためです。

今回の作業でアーカイブとゴミ箱は全て空にしました。

項目の複数削除

今回の作業で不要なログインデータを大量に削除することになりました。

作業はMac版のアプリで行ったのですが、ここでも作業性に違いが出ました。

Mac版アプリ

1Password

shiftキーやcommandキーを押しながら複数のログイン項目を選択し、移動や削除ができます。
項目を削除した後も一覧の同じ場所を表示してくれます。

Bitwarden

ログイン項目を複数選択することができません。
1個ずつしか削除できないのですが、その1個を削除するとリストの一番上に戻ってしまいます。
私は1PasswordとBitwardenのMac版アプリを並べて作業していたのですが、この毎回一番上まで戻ってしまう仕様がとても不便に感じました。

Webサービス

1Password

Webサイトからは複数選択することができません。

Bitwarden

項目の左にあるチェックボックスにチェックを付けることによって複数選択が可能です。
しかし、大量の項目にチェックを入れている最中、チェックボックスの少しでも外側をクリックしてしまうとこれまで入れていたチェックが全て外れてしまいます。私はこれを何度か行いました。

レビューで不評だったiPhone版アプリ1Password 8をインストールしてみた

私はバージョン8の1Passwordアプリのレビューを読み不安に思い、Bitwardenをインストールして移行手続きを行ったのでした。

全てのデータの移行を終えた後、怖いもの見たさで1Password 8をインストールしてみました。

バージョン8がリリースされた当初は検索が先頭一致しかできず、バージョン7でできていた部分検索に対応できていなかったようですが、2023年6月5日現在、バージョン8.10.7(iOS版、Android版)では可能です。

その他、バージョン7でできていてバージョン8になって出来なくなったことがあるかもしれませんが、2、3日使ってみた限りでは気づいておりません。

アプリ自体もバージョン8と入れ替わるのではなく別アプリとして存在しています。
データはクラウドにあるのでバージョン8の使い勝手に不都合があればバージョン7のアプリを使う予定です。(バージョン7の1Passwordアプリを削除していないことが前提です)

Mac版アプリ

Mac版のアプリは私が使っていたものは既にバージョン8(8.10.7)でした。
こちらはアップデートを促すメッセージが表示されてダウンロード、インストールして使っていたようです。

MacのApp Storeにはなぜか現行のバージョン8ではなく、1Password 7(バージョン7.9.10)しか上がっておりません。
最終更新日は1か月前とまだバージョン7も更新し続けてくれているようですが、こちらも評価は2.8とあまり良くありません。

結論

私は一度はサブスクリプションをキャンセルした1Passwordの更新を継続することにしました。
逆に1年契約をしたばかりのBitwardenは自動継続手続きをキャンセルし、1年後には無料会員に戻すようにしました。

これまでパスワード管理アプリを使ったことがない方や管理アプリに継続的にお金を払いたくない方はBitwardenの無料会員でも十分な機能があると思います。

私はワンタイムパスワード(TOTP)も一つのアプリで管理したかったのでBitwardenの有料契約をしました。

しかし、今回の移行作業を終えて使いやすさや画面の見やすさという点では1Passwordに軍配が上がると感じました。

この記事がパスワード管理アプリ選び、移行をしようとされる方の一助になれば幸いです。

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