楽天モバイル「Rakuten Link」は改善が必要

格安SIM関連の最近の話題といえば第4のキャリアとして登場した楽天モバイルがあります。
これまではドコモやauの回線を又貸しするMVNOとしての楽天モバイルでしたが、2020年4月8日からはドコモ、au、ソフトバンクと同じキャリア(MNO)としてスタートしました。

なぜ楽天モバイルを契約したのか

3月に発表されていた情報では楽天の基地局を利用するエリアでは通信量無制限なものの、楽天回線エリアは限定的で全国の多くの場所はauの回線を利用するパートナーエリアとなっており、パートナーエリアでの通信量は月2GBまで、それを超えると最大128kbpsに制限されるというものでした。

この時点では私は全く興味を持たなかったのです。
ところが2020年4月8日の正式サービス開始時にパートナーエリアでの通信量を2GBから5GBに増量。通信量超過後の制限速度も最大128kbpsから1Mbpsに引き上げられました。
その上、初期契約者300万名は1年間基本料金が無料となり実質1年間は無料で楽天モバイルの回線を通話と通信に使い放題にできると知り、試してみようと思いました。

まだ数日しか使っておりませんが、使用開始時の感想をまとめてみたいと思います。

実質Android端末専用回線

今回の楽天モバイルのサービス(通話料無料、SMS送信料無料)を使うにはRakuten Linkというアプリを使用することが前提です。

このRakuten LinkアプリはGoogle Playからダウンロードすることができます。

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.rakuten.mobile.rcs&hl=ja

ちなみにiOS版はアプリが存在せず、通信は無制限にできたとしても通話やSMSは他のキャリアと同じように30秒20円やSMS1通70文字3円からとなっています。

https://network.mobile.rakuten.co.jp/fee/un-limit/

楽天回線に対応のAndroid端末が必須

これまでSIMフリーのiPhoneであれば、国内3キャリアやMVNO、海外でもおよそ使えないSIMは無いと思っていましたが、楽天モバイルでは動作保証の対象外です。

また、iPhoneでさえその有り様ですから、多種多様なAndroid端末では尚更動作確認は取れておりません。
確実に使うなら楽天モバイルで販売している端末を購入するのが一番です。

https://network.mobile.rakuten.co.jp/product/

私はこのこともあり、香港版のGalaxy S10を持っているにもかかわらず、今回、楽天版のGalaxy S10も購入しました。

私が楽天版Galaxy S10を購入した理由と初期状態

香港版Galaxy S10にSIMを入れてアクティベーション(初期設定)をしてみた

楽天版のGalaxy S10にSIMを入れて使えるのは当たり前なので、わざと香港版のGalaxy S10に入れてRakuten Linkのアクティベーションを行なってみました。

結論を先に言うと、SIMを入れただけでAPNの設定も不要で通信も通話もできました。
ただし、テザリングは初期状態で選択されていたAPNではできず、APN設定を新規に作成し、APNタイプに「Internet + MMS + DUN」を選択することでできるようになりました。

香港版Galaxy S10ではAPNタイプを初期状態から変更する必要があります
香港版Galaxy S10ではAPNタイプを初期状態から変更する必要があります

Rakuten Linkのアクティベーションに関しては、送られてきたSMSに記載された番号がRakuten Linkアプリに自動入力されないこともありましたが、手入力すれば認証が完了しました。

ちなみに我が家は楽天回線エリアではなく楽天パートナーエリアでauのBAND18を使って接続しています。

我が家はauの回線を使うパートナーエリアです
我が家はauの回線を使うパートナーエリアです

通信速度比較

UQ mobileのSIMを入れたiPhone 11 Pro、楽天モバイルとLINEモバイル(ソフトバンク回線)を入れた香港版Galaxy S10で通信速度を比較してみました。

UQ mobile

下り56.9Mbps
上り1.25Mbps

UQ mobileのSIMを入れたiPhone 11 Proで計測した結果
UQ mobileのSIMを入れたiPhone 11 Proで計測した結果

楽天モバイル

下り6.04Mbps
上り8.94Mbps

楽天モバイルSIMを入れた香港版Galaxy S10で計測した結果
楽天モバイルSIMを入れた香港版Galaxy S10で計測した結果

LINEモバイル(ソフトバンク回線)

下り20.5Mbps
上り9.27Mbps

LINEモバイル(ソフトバンク回線)SIMを入れた香港版Galaxy S10で計測した結果
LINEモバイル(ソフトバンク回線)SIMを入れた香港版Galaxy S10で計測した結果

香港版にUQ mobile、楽天版に楽天モバイルのSIMを入れての速度比較

UQ mobile(香港版Galaxy S10)

下り2.88Mbps
上り3.26Mbps

UQ mobileのSIMを香港版Galaxy S10に入れて計測した結果
UQ mobileのSIMを香港版Galaxy S10に入れて計測した結果

楽天モバイル(楽天版Galaxy S10)

下り3.27Mbps
上り7.11Mbps

楽天モバイルSIMを楽天版Galaxy S10に入れて計測した結果
楽天モバイルSIMを楽天版Galaxy S10に入れて計測した結果

通信速度比較の感想

UQ mobileは楽天モバイルと違ってauのBANDと同じBAND 1、3、11、18、26、28、42が使えます。
一方、楽天モバイルがパートナーエリアで使えるのはauのBANDのうちBAND 18、26のみです。

今回の計測で一番速度が出ていたのはiPhone 11 ProにUQ mobileのSIMを入れた場合でした。
その理由として推測されるのはiPhoneではより通信帯域の広い(混雑の少ない)BANDを使っているか、複数の周波数帯の電波を束ねて通信するCarrier Aggregationという方式を使えたからだと思います。

一方、Galaxy S10では香港版にUQ mobile、楽天版に楽天モバイルを入れた場合の比較ではあまり違いがありません。
これは楽天版Galaxy S10ではCarrier Aggregationに非対応、香港版Galaxy S10では対応しているものの我が家での電波環境と端末の組み合わせではCarrier Aggregationを使えていないのが原因と思われます。

誤算だった楽天版Galaxy S10の通話録音機能

今回、楽天版のGalaxy S10を買って少し期待していたのが通話録音機能です。
海外版のスマホは通話を録音することが国によっては違法となることがあるようで、日本のキャリアで販売されているスマホのように伝言メモや通話録音機能が無いのが殆どです。

楽天版のGalaxy S10には伝言メモと通話録音機能が付いています。
ところがこの通話録音機能、Rakuten Linkを使った発信の場合には利用できません。
着信の場合は利用できます。

それはなぜか。

着信はスマホ本体の標準電話アプリを使って通話をするので、スマホ本体の標準電話アプリに付いている通話録音機能が使えます。
一方、発信に関してはスマホの標準電話アプリを使えば通話録音機能が使えますが、それだと30秒20円の通話料がかかってしまいます。
逆に通話無料のRakuten Linkアプリを使うと、Rakuten Linkには通話を録音する機能がありません。

大事な電話は聞き逃しや相手に言った言わないのトラブルの元になるので、できれば通話内容を録音しておきたいところです。
ところが、Rakuten Linkを使うとその機能が使えないのです。

標準でんわアプリを使う発信や着信では通話録音機能が使える
標準でんわアプリを使う発信や着信では通話録音機能が使える
Rakuten Linkアプリを使った発信では通話録音機能が使えない
Rakuten Linkアプリを使った発信では通話録音機能が使えない

マナーモード時の着信バイブレータが1回しか作動しない

これはGoogle PlayにあるRakuten Linkアプリのレビューで見かけました。
それは携帯電話からRakuten Linkがインストールされた携帯電話番号にかけるとマナーモード時のバイブが最初の1回しか作動しません。
なぜか固定電話からかけた時には呼び出ししている間、ずっとバイブが作動します。

通話料無料のRakuten Linkがあるからこそ、通話重視の人にも勧めやすい楽天モバイルですが普段マナーモードにしている人にとって、この挙動は欠点だと思います。

Rakuten Linkを標準電話アプリとして設定できない

ブラウザや地図アプリでお店の情報を調べて、そのお店に電話をしたいと思った時、その電話番号にリンクが付いていれば通常、電話アプリにその電話番号が共有され電話をかけることができます。
ところがRakuten Linkは電話アプリとして選択できません。
その結果、一度電話番号をコピーして、Rakuten Linkにペーストしてから電話をかけることになります。

このあたりはiPhoneをMVNOで通話料割引アプリを使って電話をかけていた人にとっては当たり前のことかもしれませんが、3大キャリアやワイモバイル、UQ mobileでかけ放題オプションを使ってかけていた人にとっては面倒なことだと思います。

ちなみにOCNモバイルONEが提供している「OCNでんわ」アプリは電話番号の頭に「0035-44」をつけて発信する通話料割引アプリですが、ブラウザの電話番号部分を長押しした時の「通話」から「OCNでんわ」を選択することができます。

Rakuten Linkアプリは通話アプリの選択肢に表示されません
Rakuten Linkアプリは通話アプリの選択肢に表示されません

「OCNでんわ」アプリにできるのであれば「Rakuten Link」アプリでもできそうなのですが、何が違うのでしょう?

結論

楽天モバイル版のGalaxy S10をRakuten Linkのアクティベーションや安定動作のために購入しましたが、香港版のGalaxy S10で十分でした。
もちろん、着信の際に自動通話録音が使えたり、いざという時にワンセグが使えるのは便利ですが、香港版を持っている人があらためて買うほどのものかと考えると疑問です。

もちろん、「Rakuten UN-LIMIT」や「Rakuten Link」に正式に対応した端末でなければ動作保証はされませんので、他のSIMフリー端末で動作検証をする場合の標準機としての価値はあります。

「Rakuten UN-LIMIT 2.0」の内容は3大キャリアやMVNOにとって脅威だと思います。

https://network.mobile.rakuten.co.jp/fee/un-limit/info_20200408/

でも、これまでキャリア回線やMVNOなどから楽天モバイルにMNPするのであれば、上記のようなデメリットも理解した上で行うことをお勧めします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください